求愛 / by Nao-Horomura

私は、昔、性癖のようなもの、夢の原型のようなものを、インターネットで発信していました。写真や、英語で書いた短い文章です。(今は閉鎖しています。)それは例えば、このようなものでした。

 

私は足元で転がる瀕死の虫を愛している

私は豚や馬や犬やその他の動物たちを愛している

私は家具や便器を愛している

だから私ははやくあなたに瀕死の虫に、動物に、家具に、便器になってほしいと願う

はやく、人間やめてよ、って心から思うの

 

この文章がきっかけか、他の何かがきっかけかは分かりませんが、あるアーティストが、私にコンタクトをとってきました。私は、ちょうどその文章を、彼の作品を聴きながら書いていたので、「やっぱりそうか」と思いました。

彼は、私のことを、なんというか、象徴として、好んでいるようでした。実際の私を求めながら、私が生み出す理想の世界に、強く惹かれているようでした。私も、同じでした。それは、とてもミステリアスな時間と空間でした。実際、私の理想の世界は私以上に私らしいし、彼の作品は彼以上に彼らしいのです。私たちのプラトニックなセックスに、肉体は追いつきませんでした。肉体が追いつくことは永遠に来ないように思いました。現実に合わせて理想を下げるのか。理想に合わせて現実を引き上げるのか。私はまだまだ若く、理想を現実にするために充分な時間は、どうしようもなく、私の手にありました。私は、理想に合わせて、現実(物理的に私が表現できるもの、与えられるもの)を変化させようとしました。彼が、私を、理想の世界側で待っているように思ったからです。いちど交わった理想の場所で、また、交わりたいと私は思いました。彼をその場所にひとり孤独にさせておきたくないと思いました。彼は、もう、ほとんど期待していないかもしれない。それでも、私は、時間をかけて、そこにいく必要がありました。私にはそれだけの時間があり、彼にもまだ時間がたっぷりとあり、それは諦めて孤独でい続けるには長すぎる時間だったのです。自分は、まだいける、まだまだだ、とお互いに思い、相手の期待に答えたいと思っているように、感じるのです。彼がどうかは知りませんが、少なくとも私は、そう、強く思っていて、それが私を、私以上のものに引き上げていきます。

(2015年2月)